ろぐりずむ

主には宝塚の感想。他のミュージカルも観ます。

【雪組・中日】『星逢一夜』(2017) 感想〜「星」で繋がれた3人の運命

雪組日劇場公演『星逢一夜/Greatest HITS!』観劇しました。今回はお芝居の感想です。お芝居は再演、そのため変更点を中心に書いていきます。

★2月19日 11時 2階10列 中日劇

■キャストの変更

吉宗が若返ったことにより、吉宗と晴興の関係性がより近くなったように感じた。最後の吉宗が沙汰を晴興に告げる時、ただ将軍としてだけではなく、一人の人間として、個人的な感情が込められているように感じた。

  • 貴姫:大湖せしるさん→桃花ひなさん

ももちゃんの貴姫、本当にきれいだった。日本物のお化粧では誰にも引けを取らない美しさ。貴姫は晴興の誰にも負けない意志の強さに惹かれたのだろう、でも晴興は泉にずっと惹かれていた、それを考えると辛い。

■終盤の場面追加

今回では、一揆が終わってから、その次の星逢祭の場面が追加されている。そこで、泉は泣いている。そこで子供達になぜ泣いているのか聞かれるのだが、泉は「星が綺麗だから」泣いている、と答えている。

泉にとって、星は晴興と自分を繋げてくれた存在であり、晴興が江戸に行ってからも、星を見ることで彼を思い出していたのだろう。それと、源太も含めた3人の楽しい思い出。

もう今後晴興にも源太にも会えないけれど、星を見ることで「どこかで繋がっている」と思っているのかな。本当のところはわからないけれど、そういう風に感じた。

■あとがき

お話ももちろんだが、この作品は音楽、舞台美術も素晴らしいことをここに残しておく。

この作品の登場人物たちは、願望があっても叶わない。一揆、定免法、思っているけど結ばれないこと。そのことに対して、命を懸けてもがいていく。その辛さ、苦しみが丁寧に描かれた作品で、それであって「星」という存在があることによって、希望を与えてくれる。

心の丁寧な機微が描かれた作品、本当に再演が嬉しかった。これからも、このような作品に出逢えますように。

【花組】花乃まりあさんサヨナラショー(2017) 感想 〜「花は咲く」に感涙

花組『雪華妙/金色の砂漠』千秋楽ライブビューイングを観ました。今回は、花乃まりあさんの退団公演のため、サヨナラショーとご挨拶もありました。サヨナラショーの感想を中心に、書いていきます。



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■『金色の砂漠』

ともかく、熱かった。熱いお芝居だった。私が観たのは大劇場2日目だったからか、千秋楽を観ると違いが分かる。特に、登場人物の叫びが心に響いた。ジャーの「兄さん」だったり、タルハーミネのギィに死を言い渡すシーンなど。本当にいいお芝居だった。

■サヨナラショー

私は今回初めてサヨナラショーを観たのだけど、本当にいいショーだった。私が宝塚にはまり始めた『カリスタの海に抱かれて/宝塚幻想曲』、千秋楽を観た『新源氏物語/Melodia』、サリーのはまりっぷりにびっくりした『ME AND MY GIRL』、どれも私の中に色濃く残っていて、思わず涙が出そうになった。

花組時代だけでなく、宙組時代の曲もあった。『WMW』のエマはやっぱりかのちゃんの当たり役だと感じる。『風と共に去りぬ』のスカーレットの帽子が出てくるところは、粋な演出だった。

やっぱりサヨナラショーで好きだったのは、『宝塚幻想曲』の「花は咲く」でのデュエットダンス。曲が感動的なのも相まって、立派に咲き誇るお二人のリフトをもう一度見れて嬉しかった。あのお衣装、大好き。

■品と、お芝居

かのちゃんの素晴らしい点、それはどんな時でも品が失われないところとトップに拮抗するお芝居の力である。

いつでも品が失われない、というのはやはりサリー(『ME AND MY GIRL』)を観てから感じるようになった。下町娘でも、品がある。だからこそ、メルトゥイユ夫人(『仮面のロマネスク』)などでは誰にも負けない品の良さ、華やかな雰囲気を醸し出していた。

そしてトップに拮抗するお芝居。娘役は男役さんを立てるのも大事な仕事だが、やはり私は男役さんに食いつくような娘役さんが好き。今回のタルハーミネ然り、対等なお芝居を見られたことは本当に幸せだった。

■あとがき

雨姫、と明日海さんに言われたかのちゃん。明日海さんの、「今日は雨を降らせるのではなく、お客様の頬に涙を濡らした」という言葉が印象的だった。

今回退団された皆様、素敵な舞台をありがとうございました。

【東宝】『ミス・サイゴン』(2017) 感想 〜「希望」はアメリカン・ドリームと、息子のタムだった

ミス・サイゴン』観劇しました。「命をあげよう」「ブイ・ドイ」が大好きで、再演を待っていました。

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★1月9日 13時 3階2列 梅田芸術劇場メインホール

■音楽の素晴らしさ

まずはこの点。今まで曲のみで聴いていたので、劇中で歌われているのを観ると、より歌詞への理解度が深まる。大好きな「命をあげよう」「ブイ・ドイ」に対し、理解が深まったのは非常に良かった。

また、今作品では台詞がほぼ歌になっていた。だからこそ、キャストの方々の細やかな演技と歌唱力を堪能できたのが良かった。

■戦争での「希望」

この作品の主演はエンジニアとキムだ。エンジニアというのは、フランスとベトナムの混血のことである。エンジニアにとって「希望」はアメリカへ行くという夢であり、キムにとっての「希望」は息子のタムだった。

そこで感じたのは、なぜエンジニアはそこまでしてアメリカに対する希望を持てたのだろう、ということ。自身も生まれが混血だから、おそらく子供の頃からいじめなどがあったはず。そこで屈せず生きる希望を持ち続けたのが、並外れた精神だな、と感じた。

そして対するキムは、タムこそが生きる目的で、生きる希望だった。そうしなければならない程、戦争で心がすり減っていた。だからこそ、タムを送り出した時、生きる目的を失ったのだろう。母親は強い。

■作品の要、キム

私は今回笹本玲奈さんのキムを観た。実は笹本玲奈さんを観たのが今回初めてだったのだけど、もう圧巻。幕開きの少女らしさから、母親になってからの強さの表現が素晴らしい。

そして何と言っても歌。作品がほぼ歌で構成されているからこそ、悲痛な叫び、戦争への憎しみ、クリスへの愛や叫び、それらが音楽と相まってすごく心にくるものがあった。

■あとがき

全体的に、キャバレーのシーンがすごく艶やかな演出で、目を背けてしまうことも。観たときに、高校生もいて、どんな感想を持つのかちょっぴり気になった。

そして改めて思うのは、やっぱり戦争は誰の得にもならない、ということ。平和な世の中で、こうして大好きなミュージカルが観られることに感謝したい。

【月組】『カルーセル輪舞曲』(2017) 感想〜レビュー90周年、世界旅行で廻る廻る

続いて『カルーセル輪舞曲』の感想です。「まわる〜まわる〜カルーセル〜」という主題歌がキャッチーな、そして世界旅行に行ったようなショーでした。

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■色っぽい娘役さんなら、NYの場面!

ちゃぴ(愛希れいかさん)の場面!今、娘役さんで舞台のセンターを張れるのはこの方しかいない。今回も色っぽくて、かっこよくて、ダンスもキレッキレだった。

こういう色気場面には欠かせない方…そう、ちゅーさん(咲希あかねさん)。今回で退団されるのだけど、やっぱりちゅーさんの黒髪ショートを選ぶ感性、最高。
そして白雪さち花さん。赤茶の鬘がすっごくお似合い。今後ももっと注目していきたい。

テキーラ、黒燕尾でカッコよさ堪能!

テキーラの場面、まず衣装が「赤×黒」という点でかっこいいという感想しか出てこない。そして音楽もボルテージを上げてくるので、どんどん気分が上がってくる。
そして黒燕尾!今回の黒燕尾、何も飾りがないシンプルな黒燕尾で、本当に良かった。やっぱり男役の基本ってここにあるのかな。

■退団者の場面&としさんの歌

そして終盤の水色のお衣装の場面。今回退団される、貴千碧さんと咲希あかねさん。短い間だけど、お二人で組むダンスの場面があった。お二人はダンスがお得意だからこそ、ダンスを最後に見ることができて嬉しかった。

そしてこの場面で欠かせない宇月颯さんの歌。この方は本当に歌も芝居もダンスも何でもできる方です。歌詞が分かり兼ねるのが悔しいが、何だか心が浄化されて「頑張ろう」と思わせてくれるような歌だった。

■パレード

エトワールはせんりちゃん(麗泉里さん)。美声で本当に素晴らしかった!そしてお衣装が、私の大好きな『宝塚幻想曲』の紫のお衣装。

そして待ちに待った、美弥るりかさんの二番手羽。肩の雉羽根からあの大きな羽根を見ると、「おめでとうございます」という思いがふっと出てきた。

■あとがき

あとがきになったが、ショーは、世界各国の風景を表現するものだった。内容は、クラシカル寄りのように感じた。宝塚レビュー90周年、改めて歴史の重さを感じると同時に、ここまで続いたことの凄さを感じる。

そして、珠城りょうさん、トップご就任おめでとうございます。肩幅広くて、男らしくて、優しくて、今後もそのお人柄を生かした作品がたくさん観れるのが楽しみ。

【月組】『グランドホテル』(2017) 感想〜幕開け公演!宝塚にぴったりな豪華絢爛な舞台

あけましておめでとうございます。新年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、月組『グランドホテル/カルーセル輪舞曲』観劇しました!新しい月組、新年の公演。新しい月組の始まりを観れたことを幸運に思います。

★1月2日 15時 2階13列

私は昨年に別演出の『グランドホテル』を観劇していた。そのため話の大筋は分かっていたけど、今回の作品は脳内補完がしながら観劇していた。

しかし、その代わりに医師役の夏美ようさんの台詞がストーリーテラーの役割を果たしていた。詰まるところは、「人生はメリーゴーランドのように回っていく」ということ。その中で、人が死に、生まれ、進んでいくということなのだと感じた。

月組だからこそ!の作品

このような群像劇は、5組の中で月組が一番だと感じている。というのは、『1789』然り、個々の芝居力が月組は本当、素晴らしい。今回はメインキャストの方以外はほとんど動く背景だ。

しかし、その中でもホテルの客として、お芝居されたり、従業員がグラスを持つ仕草だったり、これからお芝居がどんどん研ぎ澄まされていくのだろうと感じる。

また、プロローグの大人数での回転扉から出てきて、椅子を持って、という大きな動きは素晴らしかった。ホテルという舞台は大劇場という豪華絢爛な場所にぴったりだと感じたし、そこでの総動員での動きは圧巻。

■キャストについて

〜愛され男爵!珠城りょうさん

やっぱり珠城りょうさんは「男」だった。特に愛希れいかさんとの暗転場面。おそらく服を畳んでるのかな?そういう几帳面なところもかっこいい。男らしくて、でも優しくて。そりゃオットーも(お金を盗まれたと知りながら)お金渡すし、グルシンスカヤも、フレムシェンも好きになるよね。

〜舞台を締める!夏美ようさん

そして大好きな夏美ようさん。まずスチールの特殊メイクのようなものにびっくり。舞台からは遠くて、はっきり見えなかったのが残念。基本的に下手側にずっと座ってらっしゃるのだけど、合間合間の台詞が味のある言い方で、舞台をぎゅっと締める役割だった。

■あとがき

新年公演、まさにどんどん変化し続ける舞台だと感じる。宝塚らしい豪華絢爛さと、観客に演出を考えさせるような内容。内容は正直子供から大人まで、という内容ではないが、あれこれ考えたい方にとってはぴったりの舞台。

2016年まとめ〜今年も読んで下さり、ありがとうございました

2016年、今年もありがとうございました。

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■2016年、どんな年だった?

私にとって、2016年は「変化」の年だった。環境が目まぐるしく変わったため、自分をキープしようと目標を「自律」とした。この目標のおかげで、手帳が相棒になり、タイピングやダイエット、TOEICに向けての英語の勉強など、様々なことで自分を管理できた。

ちなみにブログのアクセス数一位はこちらの記事。

年末のM-1グランプリから、和牛の注目度が急上昇。贔屓目が過ぎるかもしれないけれど、正統派漫才では本当に面白い!!来年のご活躍も期待。

■2017年の目標

さて、2017年の目標について。今年の目標は「攻」にしたい。2016年、自分を管理してわかったことは、自分がかなりの安全思考だということ。安全思考にもプラスマイナス面たくさんあるが、やはりトライしなかったことで得られなかったものもあったのかもしれない、と思うようになった。

個人的に手帳を通して年間計画も立てたので、来年はどんどんチャレンジしていきたい。

2016年観劇総括〜今年は遠征で各地を飛び回った年だった

2016年も残りわずか。今年の観劇総括記事です!

Broadway Posters

■今年観劇した舞台

〜宝塚

花組
『Ernest in Love』、『ME AND MY GIRL』、『仮面のロマネスク/Melodia』、『雪華妙/金色の砂漠』

月組
マグノリアコンサート、『激情/Appasiondo!!III』、『NOBUNAGA/Forever Love!!』

雪組
るろうに剣心』、『ドン・ジュアン』、『ローマの休日』、『私立探偵ケイレブ・ハント/Greatest Hits!!』

星組
『Love&Dream』、『こうもり/THE ENTERTAINER!!』、『桜華に舞え/ロマンス!!』

宙組
Shakespeare/HOT EYES!!』、『エリザベート

〜その他ミュージカル

劇団四季
オペラ座の怪人』、『ウェストサイド物語』、『リトルマーメイド』、『ノートルダムの鐘』
・その他
『グランドホテル』、『エリザベート

〜その他舞台

星野源『YELLOW VOYAGE』、和牛『10年目の新ネタラッシュ!!』

総計 29回

■今年のベスト作品は?

今年は良作が多かった。その中から今年の素晴らしい作品を挙げてみたい。

・宝塚:花組『金色の砂漠』
【花組】『金色の砂漠』(2016) 感想 〜憎しみは憎しみを生む、だけではない複雑な物語 - ろぐりずむ

・その他:劇団四季『ウェストサイド物語』
【四季】『ウェストサイド物語』(2016) 感想〜マリアとアニタは、失うものが多過ぎた - ろぐりずむ
【四季】『ウェストサイド物語』(2016・全国)感想 〜人は脆くて弱いからこそ、魅力がある - ろぐりずむ

宝塚に関しては、今年は『金色の砂漠』がとても素晴らしい作品だった。素晴らしい音楽、組子を生かした作品作り、かと言って生徒のスター性に頼らない物語性。お芝居の好演もあり、今年のベスト宝塚に選出した。

その他、宙組Shakespeare』、雪組ローマの休日』なども良かった。宝塚は毎年どなたかが退団されるので、どの作品も思い出に残る。

劇団四季『ウェストサイド物語』に関しては、ミュージカルの三原則である歌、ダンス、芝居が確立された最高傑作である。ミュージカル作品の中でどれが一番好きか聞かれたら、迷わずこの作品を選ぶだろう。

加えて、私は岡村美南さんを拝見できたことも大きかった。岡村さんがきっかけで、再び劇団四季を観るようになったので、そのような意味でも今年のベスト作品だ。

■あとがき

以上、2016年総括でした。個人的には、2016年から「遠征」なるものを始めたので、国内各地様々な劇場に行けたのも楽しかった。

来年は、『ミス・サイゴン』、『レ・ミゼラブル』などの大型ミュージカルや、宝塚では『スカーレット・ピンパーネル』の上演が決まっている。来年も素敵な出会いがありますように。