ろぐりずむ

主には宝塚の感想。他のミュージカルも観ます。

【雪組】『SUPER VOYAGER!』(2017)感想~プロローグで心を鷲掴み!

 

続いてはショー『SUPER VOYAGER!』の感想です。

 

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■主題歌とプロローグのお衣装

私は、ショーの中では核となる「主題歌」がかなり重要だと考えている。主題歌がキャッチーで、口ずさみやすくて、そのショーをすぐに思い出せるようなものであれば、そのショーはほぼ完璧だと考えている。だから、私が好きなのは、主題歌が好きな曲ばかり。『エキサイター』『アパショナード』『ラ・エスメラルダ』などなど…。今回の主題歌も本当に素敵な曲である。「スーパーボイジャー♪」とキャッチーで、口ずさみやすくて、その曲を聴いたときにすぐ虜になってしまった。

 

そして、お衣装もすっごく素敵!まるでディズニーシーに行ったみたい!男役さんはかっこいいし、娘役さんの衣装がほんっとうに可愛くて!とりあえず見ているだけで幸せだった。

 

■「ララランド」場面

ショーの中では、彩風咲奈さんがセンターに立つ「ララランド」のオマージュのような場面が最高だった。花組『メロディア』を思い出した。お衣装がみなさん原色のスーツやドレスで、踊る姿を見ているとこちらまで幸せになった。そして彩風咲奈さんと組んでいたのが、今回花組から組替えした朝月希和さん。私は花組贔屓だから、雪組でさらに活躍した姿を見れたのが幸せだった。

 

■あとがき

ディズニーに、ジャニーズに、色々と盛り込まれたショーで、何回も見たくなるようなショーだった。望海さんが出てくるといつも真ん中にいるということが、本当に嬉しくて、夢のようで。これからの航海も素敵なものになりますように!

 

 

【雪組】『ひかりふる路』(2017)感想~トップコンビの歌、コーラスがすごい!

 

新生雪組トップコンビお披露目公演、観劇しました。この記事はお芝居『ひかりふる路 ~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール』の感想です。

 

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★12月3日 15時 2階10列 宝塚大劇場

 

■観劇する前に

ぜひ見てほしいのが、劇場で売られているパンフレット!演出を担当された生田先生のコメントが、望海さんへの思いが溢れている…!隣がショーの演出の野口先生なのだけれど、生田先生は野口先生の2~3倍くらい文字数がある。ちなみに生田先生と望海さんは同じ年に入団した、いわゆる「同期」である。

 

■ワイルドホーン作曲の素晴らしい曲たち

この作品の大きな特徴は、フランク・ワイルドホーン氏が作った音楽。『スカーレット・ピンパーネル』は、宝塚で初演・フランス革命を描いた物語ということで共通点がいくつかあるが、やはりストレートに届いてくる音楽がとても素敵だった。

そして、その素晴らしい曲たちを歌う、トップコンビの歌の上手さ。望海風斗さんと真彩希帆さんはほんっとうに歌がお上手で、ずっと聴いていたいと思ってしまうほど。

加えて、かなり驚いたのがコーラスの素晴らしさ!コーラスと言えば、私の中では宙組だったのだが、今回観劇して雪組の素晴らしさを知った。

 

■あとがき

宝塚でフランス革命を描いた作品はたくさんあるけれど、トップコンビのお二人だからこその難曲たちで、これからの作品がとても楽しみになった。

【星組】『Bouquet de TAKARAZUKA』(2017)感想~スペインの場面はやっぱり最高!

 

続いてはレビュー『Bouquet de TAKARAZUKA』感想です。

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今年は『モン・パリ』上演から90周年らしい。タイトルを見たとき、「分からない曲ばかりだったらどうしよう…」と不安があったけれど、ポピュラー・宝塚のスタンダードな曲が多くて、年代問わず楽しめるレビュー作品だと感じた。

 

■大好きな「スペイン」

作品の中では、パリやアメリカ、スペイン、そして宝塚など様々な地での場面がある。その中でも大好きなのがスペイン!!やっぱりスパニッシュな音楽は最高。私は元々スペインのフラメンコで流れるような音楽が好きなのだけれど、それに合わせて宝塚の娘役さんがかっこよく踊るのが大好きなのである。

今回のスペイン場面の娘役のセンターは綺咲愛里さん。あーちゃん(綺咲愛里さん)を巡り、紅ゆずるさんと礼真琴さんが取り合う中で、あの長いドレスを使って魅力的に踊るのがとてもかっこよかった。そしてお団子キャップの毎度ながら非常に繊細。この場面、最後あーちゃんが紅さんを憂うような目で見て去る。そこもまたかっこいい。

 

■「歌」の力

ショーを通しては、礼真琴さんと天彩峰里さんがとても印象的だった。

~礼真琴さん

歌、ダンス、何でも来い!(イメージ)なショースター。二番手になってまだ日もそんなに経っていないのに、一人であの大劇場をご自身の空間にされている点が本当にすごい。

~天彩峰里さん

エトワールがほんっとうに素晴らしかった!クリアで美しい歌声。宙組に行ってもどんどん活躍してほしい。もっと歌っている姿が見たいです。

 

■あとがき

レビュー90周年記念作品であるこの作品。『モン・パリ』も『セ・マニフィーク』もやっぱり聞くと名曲。ただ、そのままのアレンジの他にも、色々な新しいアレンジで聞いてみたいな、と思った。また、こうして宝塚の歴史をちょっぴりでも垣間見れることは、なんだか歴史を見ているようで、これからも応援していきたい。

 

【星組】『ベルリン、わが愛』(2017)感想~トーキーを使った演出が新鮮!

 

星組公演、『ベルリン、わが愛/Bouquet de TAKARAZUKA』観劇しました。新生トップコンビになってから、初の二本立て作品です。やっとトップコンビの羽根が見れる、ととても楽しみにしていた作品、今回はお芝居の感想です。

 

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★11月4日 15時 2階10列 宝塚大劇場

 

■あらすじ・映画ならではの演出

お芝居のあらすじは、「無声映画→トーキー」「平和→ナチスの独裁」と時代が移り変わる中、「理想の映画を作る」ことを求めた人々たちの物語。

演出面では、映画にちなんでフィルムの舞台装置があったのが印象的だった。そして、何よりも舞台の映像をトーキーにして流す、という演出が新鮮!タカラジェンヌは舞台はもちろん、映像で見てもやっぱり美しい。

 

■素晴らしいお芝居!

作品の中では、音波みのりさん・天寿光希さん・夏樹れいさんが素晴らしかった。

 

~音波みのりさん

レーニという女性の役。この役は、ハングリー精神が旺盛で、それゆえに才能を持つジルを憎み、ジルの地位を脅かすためには手段を選ばない人物。レーニはコミカルにも、シリアスにも描かれており、その振り幅をはるこさん(音波みのりさん)が魅力的に演じられていた。

 

~天寿光希さん

本当にこの方のお芝居は素晴らしいです。でもまず書きたいのが、第一声を聞いたとき。「えっリアルに男の人の声だ」と思った。本当に男性の声だった。劇中劇の前のシーンでは笑いを取っていて、おちゃめ。そして、ゲルダとの場面は必見!特に二人の関係性は説明されていないけれど、恋仲だったよね!?そうだよね!?ここの天寿さんが口数は少ない、背中で語る、というような男性で最強にかっこよかった。

 

~夏樹れいさん

ジョセフィン・ベーカー。歌が本当に素晴らしいのは知っていたけれど、お芝居がいい!!夏樹れいさんは今回の作品で退団されるのだけれど、最後に勇姿を拝見できて、本当によかった。スター特有の人を惹きつけるオーラ、人種差別という現実に負けない強さ、それを知っていても自分一人ではどうにもならないという哀愁。男役さんだからこその強い女性で、本当に素敵な役だった。

 

■あとがき

映画が舞台なだけに、クリエイター達の「理想を追い求める」姿がとても印象的だった。また、劇中で出てくるハイネの詩、エーリッヒが絵本作家であること、ジョセフィン・ベーカーの歌、様々な芸術が詰め込まれていて、こんなに芸術に囲まれていたら幸せだな、と思ったのでした。

【宙組】『クラシカルビジュー』(2017) 感想〜まぁ様、最後のショー

続いてはショー『クラシカルビジュー』の感想です!

■「美」

伶美うららさんの、絵画から出てくる演出がよかった。というか、全体的に出てくるときにはっとするよね。もう美しすぎて。ところどころでうらら様の「美」が演出されててよかった。

もうこれだけ「美」が特集されるタカラジェンヌって出ないんじゃないかな、と思われるほどほんっとうに美しいよね。至る所で周りの娘役さんとは違うドレスを着て、それを着こなしていて。トップ娘役という肩書きはないけれど、明らかに娘役のトップにあったと思う。

■「サヨナラ」

まぁ様(朝夏まなとさん)のサヨナラ公演とあって、やはり「サヨナラ感」あるシーンも。組子の皆様と握手したりするシーン、これ近いうちに来る千秋楽なんかだと泣いてしまいそう。

■あとがき

まぁ様のトップお披露目作品『TOP HAT』から何度も宙組の作品を見ていて、私は本当にまぁ様のおかげで宙組が大好きになった。素晴らしいコーラス、抜け目ない実力。お披露目があれば、サヨナラもある。本当に素晴らしい舞台を見せてくれてありがとうございました。

【宙組】『神々の土地』(2017) 感想 〜歴史が目の前で起こっている、重厚感溢れる物語

宙組公演『神々の土地 〜ロマノフたちの黄昏〜/クラシカルビジュー』観劇しました。ついにやって来たまぁ様(朝夏まなとさん)のサヨナラ公演、今回はお芝居の感想です。

★9月17日 15時 2階10列 宝塚大劇場

幕が下りた後、ずっしりと重厚感が残る作品だ。まるで歴史の1ページが自分の前で起こっていたかのよう。宝塚というのは夢の世界だからこそ、「現実」としては受け止められない作品もある。けれど、この作品は違った。教科書では「ラスプーチンを暗殺した人物」「ロシア最後の皇帝」だけで表現される人物を、脚本演出、そして演者の力で、人物に納得感を持たせていた。

■演者の力

オリガ演じる星風まどかさん、ニコライ演じる松風輝さんの2人がとっても心に残った。

〜オリガ

実質的なヒロインはイリナだけれど、今回のお話の中心にいたのはオリガだと感じた。そして、皇女として・一人の女性として、苦悩する姿が印象的だった。

市民の皇族に対する思いを初めて知った時。ドミトリーがある作戦に加わるのを知った時。それをアレクサンドラに伝えた時。幼心に、ドミトリーの気持ちが自分には向いていないと気付いた時。

オリガの「正義感」「純真さ」で全てその行動が納得が行った。星風まどかさんは、この2点においては群を抜いていると思う。お芝居ももちろん、清らかな歌声も素晴らしい。これからどんな舞台が観れるのか、楽しみ。

ニコライ2世

お芝居がとても魅力的なまっぷーさん(松風輝さん)。私は何冊かロマノフ王朝に関する本を読んだのだけれど、ニコライ2世は「家族思いの優しい父親、その優しさ故、混乱するロシアを治める皇帝には合わなかった」という記述が多く見受けられた。

そして、作中、ニコライがこうドミトリーに話している。「もしきみがオリガを愛しているのなら、わたしはきみに次の皇帝をお願いしてもいいと思っているんだよ」。家族思いで、優しくて、でもちょっと決断力に欠けていて。オリガたちにとってはすごくいいお父さんだったのだろうな。

そして、哀愁漂う感じもすごく醸し出されていた。自分には皇帝は務まらないこと・国が混乱状態になっていてどうにもならないこと・自分は市民たちの敵であること、を気づいていたけれど、でも子供たちには言わない。混乱させない。それも優しさだよね。

■あとがき

「歴史が目の前で起こっている」、まさにこの一言に尽きる。市民だから、皇族だから、とカテゴリー化して歴史を見てしまうことも多いのではないか。けれど、元々はみんな1人の人間である。何を思い、何を感じて、どう行動したか。「自分の信念を信じ、運命に翻弄される」人々の、儚く美しい物語だった。

【漫画】『マリーマリーマリー』〜リタ森田の、尊重し合える関係最高!

久しぶりに、どストライクな漫画に出会いました。勝田文さんの、『マリーマリーマリー』という漫画です。その魅力について語ります!

マリーマリーマリー 4 (マーガレットコミックス)

■1コマずつ、額縁に飾りたくなる絵

まずは、「絵」について。上では、私が一番好きな4巻の表紙を貼りました。ほんっとうに絵がポップで、おしゃれで、何回見ても飽きない。また、リタの愛車ミニについても、作者の勝田文さんがすごく愛情を持って描いていらっしゃる。

■リタ&森田の関係性

ずばり、お互いを尊重する関係性。これができるようで、なかなかできないからこそ、夢見るんだよなぁ。

主人公の夫、森田は、ギタリストとして全国を津々浦々と活動している。だから、急に「ちょっとツアーで家空けるから〜」みたいなこともよくある設定。そして安定した収入は、おそらくない。それらを踏まえ、友達に森田との結婚を止められるリタ。それでも、森田にもう惚れちゃったから、引き返せない。

1巻途中、リタは初めて森田のライブを見る。そこで見る、幸せそうな顔。あんな風に、パートナーに惚れられること、なんて幸せなんだろう。すごく羨ましかった。「知らない」って、時に魅力になるんだと感じた。

そして森田も、リタの仕事ぶりから彼女に惹かれる。漫画の中の描写では、リタは鍼という治療法で、森田は音楽という治療法で、周りの人を治療し、幸せにする。その点からも、二人はお互いを補い合い、尊重している。

■まとめ

「結婚っていいなぁ」、「人の繋がりっていいなぁ」そう思える漫画。もちろん、リタと森田みたいに上手くいかないことの方が多いかもしれない。でも、お互いに補い合って、尊重し合える関係性が、とっても素敵。ちなみに最終巻まで出版されています。