大学生から見た、国立文系大学学部廃止について。
先月くらいから、「国立文系大学の学部廃止」のニュースが話題となっています。
私もこのニュースには非常に興味があります。
なぜなら私の通っている学部がなくなる可能性が非常に高いからです。
このニュースのため、テレビ局が大学に来ることが多くなりました。
具体的にどんなニュースなのか。
以下、引用です。
下村博文文部科学相は8日、全国の国立大学法人に対し、第3期中期目標・中期計画(2016~21年度)の策定にあたって教員養成系や人文社会科学系の学部・大学院の廃止や転換に取り組むことなどを求める通知を出した。教員養成系と人文社会科学系については、18歳人口の減少などを理由に、組織の廃止、社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう要請。(1)地域貢献(2)世界・全国的な教育研究(3)世界的な卓越教育研究――のいずれかの枠組みを選んで機能強化を進める大学には、運営費交付金を重点配分するとした。 *1
政策の理由。
その1.「大学=人生の夏休み」
この政策は、「教員養成や人文社会系の学問は、将来に役立たない」と暗に言っているような気がします。
そして、 私はこの政策の理由は、「大学=人生の夏休み」という事実にあると思います。
その理由は3つあります。あくまでも個人的主観です。
1.「興味<単位取得の簡単さ」
新学期に、授業を選ぶ時に、何を基準に選ぶのか?ということです。
単位取得が難しいけど、興味を引く科目もたくさんあります。
でも、そういった科目は学生があまり集まらない現状があります。
2.休みが長い
大学生って、非常に休みが長いです。
そのため、祝日に授業があることも多いです。
具体的には、
- 春休み、夏休み:約2ヶ月
- 冬休み:約2週間程度(この点は、小中学校、高校と同じですね)
「休み長いなぁ」という声もよく耳にします。
3.「卒業さえできればいい」
「 単位を取得して、卒業さえできればいい。学んできた内容は二の次だ。」という考えが大学生の中にあると思います。(極端ですが)
以上の理由から、「大学=人生の夏休み」という事実がなかなか抜けることはないでしょう。
また、周りには「大学で得たことって何だろう」とぼやく人も多いです。
その2.大学の勉強は就職に役立つ?
また、将来と言っても、就職以外にもたくさんの選択肢がありますが、今回は「就職」で考えてみます。
ここ数年は、好景気のため、新卒の就職率は高いと予想されています。*2
そして、就職には大学で培った能力が反映されているのか、と聞かれると、私は「NO」だと思います。
その理由は、就職活動で説明会に行ったときのこと。
「何か必要なスキルはありますか?」の問いに対して、「特にないが、パソコンは使えたほうがいい」という答えがほとんどだったからです。
確かに、大学で学んできたことは社会に出て役立つスキルではないかもしれない。
でも、学問って、考え方や人格の形成に関わっている大事な要素ではないのかな、と思うんですよね。
学部廃止の問題点。
この政策で、私が問題視しているのは、「教育の機会を奪う」ことです。
経済的な理由のため、私立大学には行けない人も多いと思います。*3
そのため、極端な話になりますが、貧乏な人は教育が受けられず、裕福な人だけ教育が受けられる、という事態になりかねません。
そうなると、また昔に逆戻り。まさに「歴史は繰り返す」ことをよく表しているのではないでしょうか。
また、先程「大学は卒業できればいい」という考えについても書いたのですが、これは日本の学歴社会が大いに関係しています。
学歴がないと、いい場所で就職できない、この問題を解決せずに教育の機会を狭めてしまっては、どんどん格差が広がるばかりです。
最後に。
私は学びは「下剋上の道具」だと考えています。
それくらい、価値のあるもので、他の人を納得させることができるものだと思っています。
確かに、大学は人生の夏休みかもしれないけれど、あくまでも廃止はやりすぎではないかと思いました。
ここまでお読み下さり、ありがとうございます!
2015年大学卒業の就職率は96.9%
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLASDG18H45_Z10C15A5000000/
*3:国立大学の授業料は年間54万程度、私立大学の授業料は年間73万程度。