【月組】『舞音』(2015) 感想〜愛希れいか、という舞台人を堪能!
月組公演『舞音/GOLDEN JAZZ』観劇しました。今回は『舞音』の感想です。
今回の作品、テーマにあるのは「愛とは何か」、そして「祖国とは何か」という2つのテーマが絡み合う作品だった。
「愛とは何か」
主題歌でも「愛が何なのか」という歌詞があるように、この作品のメインテーマはここにある。その中でも、シャルルとマノンの愛、マノンとクオンの幼少期の経験から来る、愛を信じられない感情。
たくさんある中で、やっぱり私が惹かれたのはクオンの儚さでした。お金のことしか考えてないように振る舞うのだけど、何だか憎めない悪役だった。マノンをわざわざ迎えに来たり、思いを寄せている人に何度も告白したり…!
それは珠城さんの持ち味から来るのかもしれないけど、おそらく幼少期の経験だと思う。よく「親とよく似た人を好きになる」という経験はあると言うけれど、まさにクオン、そしてマノンはその傾向が顕著だったように思う。
クオンとマノンはフランス人の父親と、現地(ベトナム)の母親の元に生まれた。そして、両親がいなくなり、「捨てられた」という感情は親に似た人を愛する気持ちを生んだのではないか。
「祖国とは何か」
劇中で、「私には祖国がない」というマノン。それに対し、祖国を守るために活動する反政府軍の人々たち。この対比も、作品の中では重要な役割を果たしていたように思う。
その中でも、私が魅力的だったのは、マノンの小間使い・ホマを演じた海乃美月さん。私は『1789』のオランプ役のイメージがすごく強かったので、すごい新鮮だった。
そして、ホマは祖国を守るために活動するのだけど、それ以外にも非常にマノンを憎んでいる。そして劇中では、「祖国を守るためにマノンを売った」というセリフがある。
命の重さはみんな同じ。だけど、ホマは祖国を守るため、マノンを憎んでいたから自分たちのスパイ活動をマノンに押し付けた。これはきっと現実にもあることなんだろうと思うと、どうしようもないけど胸が苦しくなりました。
タイトルロールとして生きる。
でも、やっぱり一番はちゃぴだった。ちゃぴのマノンが私は好きです。いたずらっ子に振る舞い、愛を知り、祖国を知り、自分を認められるようになった。泥の中で大きく咲く花。花言葉の「清らかな心」というのは、まさにちゃぴにぴったりな言葉だ、と感じました。
私が劇中で好きなシーンがある。後半、マノンが捕まり、ベトナムの歌を歌うシーン。ここから、祖国がないと言っていたマノンはきっと自分のことを認めるようになったのだろうか。
マノンが歌った後、ホマが歌い、そして大合唱になる。まさに「歌の力」。歌は、音楽は、人の心を揺さぶることがすごく分かるシーンで、本当に感動した。
あとがき
ここまで真面目に書いてきたのだけれど、輝城みつるさんに堕ちてしまった。役どころは政府の役人なんだけど、めちゃくちゃカッコイイ。あんなイケメンな役人、フランスにいるんですね…月組恐るべし…。
座り方、口説いてるとき、手にキス、など色々とあるのだが、やっぱり声がいいんです!マノンの家で役人たちが集まるところのシーンでしかセリフはないのですが、ぜひ注目していただきたいです。あとすごく歌がお上手です!
次は、ショーの感想です!月組1年ぶりのショー、楽しかった!