ろぐりずむ

主には宝塚の感想。他のミュージカルも観ます。

【花組】『金色の砂漠』(2016) 感想 〜憎しみは憎しみを生む、だけではない複雑な物語

花組公演、『金色の砂漠』感想です。ポスターのキャッチコピー、「我が復讐、我が恋」。様々な恋愛模様が絡み合った、悲しいけれど重厚感のあるお話でした。

■主題歌について

主題歌が本当に大好き。『星逢一夜』の主題歌も大好きなのだが、この作品の主題歌もまた素晴らしい。やはり、主題歌が素晴らしいと作品の評価が何倍にも上がる。特に今回の主題歌は、歌だけでなく、それに込められたストーリーが印象的だった。

■芝居の熱量が半端ない

私は2日目に観劇したのだが、とにかく芝居の熱量がすごかった。花組はここ数作コメディが続いていたため、大劇場でのシリアスな作品は久しぶりになる。

私はただの観客だけれど、花組の皆さんで芝居を作り上げようという気迫が非常に素晴らしかった。

■当て書き、やっぱり面白い

宝塚の醍醐味である「当て書き」。その人のイメージに合った役を見ることができるので、楽しい。明日海りおさんの鬱屈した青年、花乃まりあさんの高貴な王女。

かのちゃん(花乃まりあさん)は今回が退団公演になるが、タルハーミネが本当にぴったりであると感じた。衣装の着こなし、子役のお芝居、王女の気品。特に近づき難い気品に関しては、私は宝塚随一だと感じる。

■あとがき

観た後の重厚感が半端なかった。お話はもう救いようがない、簡単に言えば「憎しみは憎しみを生むだけ、良い結果にはならない」ということだ。けれど、それだけではないのだ。

きっと主人公たちは破滅の道に進むとわかっていながら、抗えなかったのだろう。それが悲しくて、でもその姿が美しい。まだ開幕したばかりなので、様々な人に見てほしい。