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幸運なことに、前回とはメイン3役(ファントム、クリスティーヌ、ラウル)が異なるキャストで見ることができました。
そのキャストについての感想です。
今回のファントムは芝清道さん。一言で表すと、「哀愁」だと感じる。
芝さんのファントムは分かっている。クリスティーヌの愛が自分には向かないこと、そして自分の顔のせいにして自分自身の運命を生きていないことを。
だからこそ、最後の場面でクリスティーヌから指輪をもらったとき、声を殺すような演技をしていたのだと考える。
そして歌声もそれに合わせるかのように、優しい歌声だった。「あれ、ガンガン歌わないのか」と一瞬困惑したが、だんだんと芝ファントムを好きになった。
大人のクリスティーヌ。
苫田さんのクリスティーヌは大人のクリスティーヌだった。
私は映画版を何度か見ており、映画のクリスティーヌは汚れのない、ピュアなクリスティーヌである。また、前回の久保さんも、今回がクリスティーヌのデビューということで、フレッシュ感溢れるクリスティーヌだった。
苫田さんのクリスティーヌは、余裕のあるクリスティーヌだった。
「シンク・オブ・ミー」は最初おどおどした感じで歌って、次第に堂々と歌う、という演出だ。苫田さんは最初からすごく余裕があるクリスティーヌで、「この人出来るのだろう」と思わせる役作りだった。
その魅力を持つ方だからこそ、「The Point of No Return」は雰囲気がピッタリだった。途中で声色を変えて歌ってらっしゃったのだが、その変えた後の伸びやかな声が素晴らしかった。
また、役柄なのか本人の資質なのかわからないけれど、時折見せる少女っぽさもあり、それもクリスティーヌに合っていた。
あとがき
キャストが変われば、作品も変わる。劇団四季の醍醐味であるその点を、感じることができた観劇だった。