ろぐりずむ

主には宝塚の感想。他のミュージカルも観ます。

【星組】『桜華に舞え』(2016) 感想 〜アツいお芝居に、当て書きで魅力倍増!

いよいよ千秋楽も間近となってきましたが、星組公演を観劇してきました!演出が斎藤先生、そしてワクワクするポスター!まずは、『桜華に舞え』の感想です。

★10月1日 11時 2階13列 宝塚大劇場

■史実なのに当て書き!?

今回の作品は、史実に沿った物語である。にも関わらず、トップコンビはお二人とも当たり役だった。

桐野利秋とみっちゃん

桐野利秋は、「日本を良い国にする」「弱き人を助ける」など、まさに心優しいスーパーマンのような人だ。その姿が、まさにみっちゃん(北翔海莉さん)のイメージそのものだった。

みっちゃんのインタビューや、舞台上の言動から感じられるその誠実さ。それが役にも表れており、桐野利秋のセリフが、役と重なって、「当たり役」であった。

〜大谷吹優と風ちゃん

私の風ちゃんに対するイメージが「潔い武士」だったので、冒頭の薙刀を振り回す風ちゃん(妃海風さん)を見て、イメージそのものだと感じた。

その後、桐野利秋を尊敬し、見つめる目。これってまんまみっちゃんを見る風ちゃんじゃない!?あとこのセリフ。「尊敬というか…そういうものを超えた、何というか分からない思いなのです」(意訳)って、ピュアでかわいい!!ありがとうサイトー先生!!

■さやかさんの西郷隆盛

この方は本当に「役者」である。私は『ガイズ&ドールズ』でさやかさん(美城れんさん)の素晴らしさに気付いたのだが、この役が一番好き。

見た目、声、そしてお芝居。本当に西郷隆盛そのもので、桐野利秋が「命を懸けても守りたい人物」そのものだった。弱き人を助け、心優しく、そして懐が大きい。

■宝塚で「歴史」を知る

この作品で一番感じたことは、歴史には様々な人の思いが重なっていることである。教科書には事実だけが書いてあるが、それだけでは分からないことが多い。

例えば、征韓論には賛成した人、反対した人。どちらにもその言い分があり、結局は西郷隆盛の考えは認められなかった。しかしどちらの意見も「日本を良くするための行動」であったのは間違いない。大元は一緒でも、意見が違うことで対立していく。そんな人間模様を、この作品は教えてくれた。

歴史は「いい」「悪い」だけでは判断できない。たくさんの人の悩みがあって、結果そうなったのであるからこそ、表面だけの事実しか知らない、というのはもったいないことだと感じる。

■あとがき

星組の皆様の熱演が素晴らしく、特に最後の場面ではぽろっと涙が落ちそうになった。

最後に、なぜか気になったセリフ。みっちゃんの「生まれる時代を間違えたかな」というものである。これがみっちゃんと重なった。紆余曲折あってのトップ就任だったかと思うが、私は今の時期に、みっちゃんがトップになって、その舞台を拝見できて、本当に幸せである。