ろぐりずむ

主には宝塚の感想。他のミュージカルも観ます。

【花組】『ポーの一族』(2018) 感想〜明日海さんエドガーの美しさにひれ伏す

 

あけましておめでとうございます。2018年も、どうぞよろしくお願いいたします。

新年明けて早速、宝塚花組公演『ポーの一族』を観劇しました!「美は正義」だとつくづく感じた公演でした。

 

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 ★1月2日 15時 2階12列 宝塚大劇場

 

■豪華仕様なプログラム

今回のプログラムは本当に豪華仕様。演出の小池修一郎先生の作品に対する愛の大きさが半端ない。そして原作の萩尾望都先生のカット、文章などが掲載されている。これが1000円、安い!プログラムの中に、この『ポーの一族』を上演するまでのエピソードがいくつか書かれているのだが、それを聞くと、この作品は今、明日海さんがトップスターであるこの時期にしかできない作品だったということがよく分かる。

 

■明日海りおさんのエドガー

プログラムにも書かれているのだが、小池先生はトップスターとエドガーの資質を持ったタカラジェンヌをずっと待っていたとのことである。確かにこれらの共存はすごく難しい。トップスターとして組を引っ張る男性らしさとエドガーの儚く哀しい存在はまるで正反対のようだから。でも、そのどちらも体現できる存在がついに現れた、その方が明日海りおさんだったのである。

さらにエドガーというのは永遠の時を生きるバンパネラ、という設定なので、少年らしい若々しさ・長い時間を生きているという成熟した考え方・孤独感など、相反する要素を併せ持っている存在であると感じた。

明日海さんのエドガーは「孤独感を魅力として描いている点」が本当に素晴らしかった。望んでバンパネラになったわけではないからこそ、生きてきた意味・これから生き続ける意味を、必死に自問している。人間よりもずっと長く。孤独感による哀しみを表現するだけなら、「可哀想だな」だけで終わってしまうけれど、そこを美しさで孤独感を魅力として表現されていたのが本当に素晴らしかった。

明日海さんはトップスターとして何作品もされているけれど、やっぱり「悩み苦しむ役」が本当に似合う。月組時代の『春の雪』や、『金色の砂漠』とか。

 

■桜咲彩花さんのジェイン

そして大好きな桜咲彩花さん。今回夫婦役として鳳月杏さんと組まれていたのがすっごく嬉しかった。『雪華妙』の七夕の場面で恋人役として出演されていたのを観て、「いつか夫婦役とかやってくれないかな」と思っていた私。なので、今回の配役はとっても嬉しかった。しかもパレードも二人降り!ありがとう小池先生…。

桜咲彩花さん、もといべーちゃんは、今の宝塚の中で「良家のお嬢様」を演じたら右に出るものはいないと思う。それくらい、今回のジェイン然り、『仮面のロマネスク』のトゥールベル夫人のような役が本当にぴったりである。何と言っても、相手役の方を素敵に見せてくれるし、本人の品の良さも相まって、本当に大好きな娘役さんです。

 

■あとがき

2018年の宝塚始め、素晴らしい公演でした。やっぱり、宝塚は夢を、そして希望を与えてくれる場所。特にこの公演は、萩尾望都先生が今回の宝塚公演まで舞台化を待って下さっていたというエピソードに、何だか勇気付けられた。そして、タカラジェンヌの皆様の美しさにときめき、その陰の努力にいつもながら感動し、「自分自身も頑張ろう」と思わせてくれる。今年も、たくさんの素晴らしい作品と出逢えますように。