『グランドホテル』、観劇しました。この作品と出会えて、改めて「舞台での出会い」に感謝しております。なお、観劇したのはGREENバージョンです。
photo by BluePrince Architectural
★5月8日 12時(千秋楽) 1階19列 梅田芸術劇場メインホール
■凝った舞台装置
まず、豪華である点。特に梅田芸術劇場は頭上にシャンデリアがあるので、雰囲気がぴったり合致し、その雰囲気をふんだんに醸し出していた。
そして、ホテルの様々な場所を表現している点。フロント、お手洗い、客室までを目を惹く速さで表現してしまうところが本当に素晴らしい。
この変換を演者の方で行っている、という点は強調したい。特に気になったのはシングルキャストの方々だった。歌いながら、踊りながら、転換をこなしていた方々、本当に素晴らしかった。
■花を使った演出
私は「花」を使った演出に弱い。花言葉があるし、華やかになるからだ。今回は、花を使った演出が2つあった。男爵がバラを持ったシーン、出演者がバラの花びらを舞い上げるシーン。
男爵のシーンは、有無を言わせないかっこ良さ。結局現実にはならなかったシーンではあるが、そのかっこ良さにときめいた。
そして、花びらを舞い上げるシーン。出演者が赤い花びらを舞い上げる中、グルシンスカヤだけが白い花びらを舞い上げる。白だから、グルシンスカヤは男爵がこの世にはいないことを知っていたのだろうか、そんなことを考えてしまう奥深い演出だった。
■巡る人生、グランドホテル
新しく生まれる命、そして消えた命。何が起こっても、命は巡っていく。そんな群像劇の中でオットーを主人公にしたのは、「人生の生きる意味を見つけることが大事」だからだろうか。
■お目当ての…
今回は、昆夏美さんと真瀬はるかさんが見たくてチケットを購入した。これからも舞台で見続けたいお二人。
昆ちゃんのフレムシェンは、はっちゃけ具合が素晴らしい。作品の中では、見ていると苦しいシーン(プライジングとのシーン)もあるのだが、やはりその夢見る少女としてのキラキラした笑顔が印象的だった。特にハリウッドを夢見て歌い踊る場面である。
そして真瀬はるかさん!私は宝塚時代の映像を見て興味を持ったのだが、何よりその歌唱力。冒頭に椅子の上でのソロがあるのだが、声量が半端なく大きいし、綺麗だし、そして華がある。
■カーテンコール
今回は千秋楽だったので、最後にキャストの皆様からご挨拶があった。涙する方もいれば、笑いを取る方もいた。その中で印象に残った言葉を残しておこう。
まずは光枝さんの「自由と抑圧」についてのお話。GREENバージョンは冒頭と最後にヒトラーの演説が流れるため、よりその言葉が身に沁みる。自由があるからこそ、抑圧される人もいる、それはどの時代でも通じる重いテーマだったと感じる。
そして、真瀬はるかさんの「劇場は人と共にある」という言葉。私はこの類の言葉が大好きだ。舞台はお客さんがいて成り立つとおっしゃってくれると、作品に関われたようで嬉しくなる。
■あとがき
演出、装置、芝居、歌、全てがこだわり尽くされた舞台だった。再演を望みます。